Works at Kottamia during 2009-06-07 〜 2009-06-11 by Takeshi Noguchi & Toshiyuki Sasaki on 2009-06-14/06-17/06-18 1) 主鏡調整:Axial Support 固定点パッドが可動 Axial Support Pads に比べて主鏡側に突出していることを発見し、固定点パッドを下げて主鏡位置を調整することによって、3点像であった星像を1点の通常の円形像にすることに成功。今回派遣の主課題を達成。望遠鏡を振っても安定的に円形像になっていることを確認。 2) CCD 10' FOV 中心部へコマフリー領域(径2')を移動(光学調整)した。望遠鏡を南の天体から北の天体に振ることによって、コマフリー領域が約4'移動することを観測的に確認。ニュートン副鏡あるいはスパイダーの撓み、ガタが想定される。スパイダーテンションの調整、ニュートン副鏡の副鏡セル内での固定方法の点検が必要。それでも改善されない場合には、CCDマウントの移動補正をするためにダブルスライド式メカニクスの新設が必要となると提案。 3) 主鏡、副鏡の光学軸に合わせるために、レーザービームガンで測定し、CCD マウントを移動。 4) 今後の Kottamia 74"望遠鏡の改善項目について協議。 4-1) 主鏡 Axial Support の上下リミッター幅が狭いので、広げるメカニカル加工を提案。次回訪問時に加工作業を提案。 4-2) 主鏡上にあるダストの清掃方法として、CO2 snow 法を提案。 4-3) コマフリー領域の移動補償のために、CCDマウント移動用ダブルスライド式メカニクスを提案。 4-4) 望遠鏡鏡筒内カセグレンバッフル新設提案 4-5) カセグレン分光器 flat-field 光源の改造を提案(*注1) 。 4-6) カセグレン分光器リモート制御の検討提案 4-7) 主鏡蒸着時のPre-Wet法を提案。 4-8) ニュートン焦点CCDの反対側の望遠鏡チューブに遮光シート設置を提案。 4-9) Hartmann テスト解析プログラム(MS Windows ベース) の新規提供と同テスト実行の提案 (*注1) 吉田氏(岡山)に相談したところ、望遠鏡光学系を通していない焦点部のフラット照射は、すばるではもう使用されていない。ドームフラットがカセ分光器FOCASでも標準とのこと(2009-06-17)。Kottamia Cs分光器フラット光源もドームフラットをベースに考案する必要がある。 つきあった人々: Ass.Prof. Hamed Ismail (ハミッド イスマイル), Director of Astronomical Devision Dr. Ahmed Essam (エッサム) Dr. Gamal Bakk Ali (ガマル アリ) Dr. Ibrahim Selim (セリム) Eng. Mohamed Ismail Imam (イマム) ハンハリーリ市場案内の人: Dr. ピラミッド、空港につきあった人:Dr. その他、Kottamia 観測所のワーカー5-8人、運転手 塚本さん(JICA、科技庁出身、0.5年滞在、あと1.5年)、 NRIAG所長 Prof. Salah Mahmoud、 政府科学顧問 Prof. Maged Alsherbeny ------- 作業日誌 2009-06-07 ・作業開始にあたり、主鏡 axial support(AS) #8, #9 に主鏡裏面との間にギャップがあるとの報告を受けた。#8 は 0.15mm 、#9 はパッドが回転する(2009-05)との由。 ・現状を確認するために、全てのASパッドと主鏡裏面との間に隙間ゲージを挿入してパッドと裏面とのあたり具合を調べる。AS#1, AS#3, AS#8 に隙間があり、AS#14 ではカウンタウエイト(CW)を持ち上げてパッドと主鏡裏面との間に隙間を作って、隙間ゲージを挿入することが不可能(#14-CW が上リミットにあたっている)。 ・#8 のリミッター調査。下リミッターのネジは手で回るが、下まで下げてもCWと主鏡裏面とのギャップはそのまま。リミッターを下げるようにパーツを改造する(削る)かCWパッドー主鏡裏面間にシートを挿入と判断。 改造は今回は無理なので、バインダー表紙の厚み0.4mmのプラスティックシートを切断して、挿入シートとする事にした。 ・プラスティックシート挿入 AS#1 x1枚, AS#3 x1枚, AS#8 x2枚。その後夜間観測(2009-06-07)で明瞭な3点イメージ星像を得た。時系列でイメージをとると3点イメージ、丸いイメージ、2点イメージと変化し、安定していない。プラスティックシートをのぞいて撮像すると、楕円の大きめの像が取れる(3点でない)。 ・Zeiss納品検査成績表(1998-06-10, test cerificate of main mirror in kottamia sky.pdf)で、Shack-Hartmann 検査で、総合性能0.35arcsec との報告書を見せてもらう(mirror optical system.pdfでは、E80% 〜 0.25arcsec)。主鏡、主鏡セルは正しく製作されていることを確認。調整手段があるはずであると確信。 2009-06-08 ・新規Plastic sheet(t0.2mm) 到着。 ・カセ穴よりニュートン副鏡、ニュートン副鏡に写っている主鏡像を見ると主鏡像が中心より南北方向にずれている。 ・主鏡セルを望遠鏡から取り外し、主鏡を外す。サポートシステムを検査。 ・CWベースにCWとサポートの間の測定値が記されているので、記録した。 ・サポートパッド上に錘をのせて、それぞれのCWのバランス位置を調査。全てのCWが主鏡重量の分割量(1620kg/18 = 90kg)相当でバランスしていることを確認。 ・1m金尺を用いて、Axial Support(AS) と Axial Fixation Point(AFP)の高さを比較する。AFP#3 は両隣のASより上に出ている(3点イメージの原因の特定!)。主鏡セル裏面のAFPのビスの高さを測定(AFPパッドの高さが両隣のASより低いAFP#2 は10.5mm)。全てのAFPパッドの高さを両隣のASより低くなるようにビス長さ14.9mmに設定。 ・AS#8のCWを外して構造を調べようとしたが、CWを取り外すためには専用の工具が必要なので諦める。 ・ミラーをミラーセルに挿入後、AS,AFPパッドの主鏡裏面へのあたり具合を調査。AS#1gap0.05mm, AS#3 gapあり、AS#8 no gap. ・主鏡セル裏面に出ているAFPビス長さを長くする(AFPパッドを下げる): AFP#1 15.0mm, AFP#3 15.0mm => AFP#1,#2,#3 全てのパッドが主鏡裏面から離れた。この状態で、AS#1 gap, AS#3 no gap, AS#5 upper limit, AS#6 upper limit, AS#10-AS#15 upper limit. AFPパッドを主鏡裏面にあたるようにしなくてはならないことが判明した。 ・AFP#1, AFP#2, AFP#3 のビス長さを12.1mmに設定。この状態で、AS#1 gap, AS#2 gap, AS#3 gap, AS#8 gap, AS#10-AS#15 OK. ・AS#3 にPlastic sheet(t0.2mm) 1枚を挿入。=> AFP#1, AFP#2, AFP#3 パッドは主鏡裏面に just touched. ・AS、AFP の主鏡裏面へのあたり方再調査。AS#1, AS#2 gap 0.05mmであったので、シート挿入。内側のAS#10-AS#15 は、上リミッターにあたっている。 ・AFP#1,#2,#3 のビスを20度回転(0.1mm、ピッチ3mmなので)し、高くした。=> AS#3 OK, AS#8 にsheet1枚挿入, AS#10-#13,#15 OK, AS#14 は upper limitにあたっている.加えた0.2mm厚のシートは、AS#1x1, AS#2x1, AS#3x2, AS#8x1. ・AS,AFP の床上での調整が済んだので、ミラーセルを望遠鏡に取り付け。 ・主鏡、主鏡セルを望遠鏡に着けた状態で、AS、AFPをチェック。パッドと主鏡裏面のあたり方確認。 ・夜間、望遠鏡を用いて撮像。焦点外像で楕円のイメージ(コマの影響?)だが、焦点像では丸いイメージ。Coma-free 領域の確認。 2009-06-09 ・主鏡、ニュートン副鏡、CCDでの光学軸の確認、調整。レーザービームガンを主鏡セル裏面に取り付け、カセグレン穴より、ニュートン副鏡、CCD方向に射出する。カセ穴、ニュートン焦点部に糸を張り中心決め。ニュートン副鏡の調整ビスを中間点に戻す(粗精調整ビスが両方ともリミットに近かった)。CCDマウントを光学軸に会わせて30mm移動する。 ・夜間撮像観測。星像が変形している。AS,AFPチェック。AS#1-AS#9 OK. AFP#1,AFP#2,AFP#3 OK. AS#10-AS$13, AS#15 OK. AS#14 が上リミットにある。 ・AFP#1-#3をビスを10度回転して0.1mmあげる。AFP#3パッドが主鏡裏面にあたっていない。 ・さらにAFP#1, AFP#3を10度回転して上げる。AS#4に隙間、AS#8に隙間があるので、それぞれ1枚 Plastic Sheet 挿入。AS#9にも1枚Plastic Sheet 挿入 ・AS,AFP全て再調査。上リミットにあっていたAS#14もOK. ・夜間観測で、星像が真円近くになっていることを確認。球状星団観測によってコマフリー領域がCCD FOV中心からずれていることを確認。 2009-06-10 ・主鏡クリーニング法としてCO2 Snow 法を検討。 ・Axial Support 上下リミッター穴拡大の工作のために、カウンターウエイト締め付けビスの取り外し工具の検討のため、締め付けビスの採寸。 ・CCDへの液体窒素充填(望遠鏡を水平にする)後に、望遠鏡を天頂に向けて、主鏡サポートのチェックをすることを指導。恒久的な改善(上下リミッター穴の拡大)まで、チェックを実施するように指導。 ・球状星団観測によってコマフリー領域がCCD FOV中心からずれていることを再確認し、望遠鏡を倒して、ニュートン副鏡を調整。1.2度Clockwiseに回転する。チルトは粗調整でギャップ 4.5mm を 0.5mm にする。 ・主鏡サポートのチェック後、球状星団観測によってコマフリー領域の確認。東西方向はほほ中心、南北方向は南側にすれている。 ・再度ニュートン副鏡を調整。チルト粗調整でギャップ 0.5mm を 1.1mm にするべき所を3mmにしてしまっていた。主鏡サポートのチェック後、球状星団観測によってコマフリー領域の確認。ずれていることを確認。 ・再度ニュートン副鏡を再調整。チルト粗調整でギャップ再調整し、1.1mmにした。 ・夜食後、主鏡サポートのチェック。AS#14は上リミットに近いが動作はOK. ・球状星団M71, 散開星団 NGC6869、こと座環状星雲をデモ用として撮像。 ・北の銀河を観測して、コマフリー領域が南東に4分すれていることを確認。スパイダーの撓みあるいはニュートン副鏡のセル内での遊びの可能性がある事を指摘。次回調整が必要。 2009-06-11 ・塚本さん、NRIAG所長 Prof. Salah Mahmoud、政府科学顧問Prof. Maged Alsherbeny 到着。案内、説明。今後の改善項目を説明。 ・Hamed Ismail 観測所長による、塚本さん、NRIAG所長向けの Kottamia 観測所のPPT解説。 ・NRIAG所長からメダルをもらう(なぜ?)。我々からは、NAOJ,すばるのパンフ、DVDを贈る。 ・我々の撮影した写真を Dr. Essam に渡す。 ・観測所の発電機、工場を見学。旋盤、ミリングマシーンなど金工ジグはある。動くかが問題だが、主鏡サポートの上下リミッター穴加工は Kottamia で作業はできそうだ。 ・夜間 Hartmann板を清掃後望遠鏡トップに取り付け。望遠鏡を天頂に向けて、Axial Support のチェック。 ・望遠鏡制御計算機がクラッシュ。明け方まで改善されず、Hartmann観測はできず。 ・Kottamia 主鏡および主鏡セル再制作時の納品pdf文書、観測データ、古い Hartmanntest image データを取得。 2009-06-12 ・Kottamia から Cairo へ移動。 ・夕方ハンハリーリ市場訪問。 2009-06-13 ・ピラミッド見学。1時からの一般入場だが、特別に11時から入場。我々2人きりの見学だった。 ・ナイルクルーズで、Hamed Ismail 観測所長と夕食。 2009-06-14 ・カイロタワー見学。ナイル川に浮かぶ船上レストランで昼食。 ・15時ホテルでピックアップされカイロ空港へ。道路が混んでいたせいもあり、16:30頃空港着。 ・空港免税店で、お土産購入。ビール、ワイン、ウイスキーなどの売っている。 ----- 2009-06-17 関口、野口、佐々木の報告会 ・蒸着タンクが開放のままであったが、開放状態を継続したままで鏡蒸着に使用可能か要検討。テストが必要。 --- 以上 ---